ABOUT US

「明石を囲碁の”まち”にしよう会」は、兵庫県明石市・神戸市周辺で囲碁文化の継承と、地域活性化のために様々な活動をしています。COVID-19(新型コロナウィルス感染症)以前は、兵庫県立明石公園にて毎年5月に、プロ囲碁棋士、アマチュア囲碁ファン、著名人合わせて100人超規模のイベント、”明石囲碁まつり”を開催していました。22年に運営メンバーを一新し、これまでの活動を継続しつつ、夢のあるわくわくするような企画を考えています。(令和5年7月)


当会を立ち上げたのは、関西棋院A級囲碁インストラクター 杉山輝吉(すぎやまてるよし)氏。元日本気象協会職員(気象解説者)でもある氏の著書から、四季折々の言葉をご紹介します。(令和6年8月)


《葉月》気象災害と報道 ー四季に見る 日本の心と人・文化ーより

ーその頃の予報官は、注意報や警報は出し過ぎると「狼少年」になってしまい、軽々しく発表するものではないという基本姿勢を持っていた。(中略)それにひきかえ現在は、気象観測の充実や温暖化に伴う気象災害の激化もあるが、(中略)台風接近時などのテレビはリアル映像を何度も流し、レポーターは見るからに逼迫感を煽るような表現をする。確かに気象災害は想定外の現象をもたらし「備えは万全に」が基本であるが、中にはそんな報道に違和感を持つ人もいる。責任追及が厳しい世の中となり、各関係者の立場は理解できるが、その裏には空振りはしても見逃し三振はするなという問答が潜む。情報提供のあり方については今後もまだまだ議論が続くことであろう。


《文月》ラジオ体操 ー四季に見る 日本の心と人・文化ーより

ー夏休みの思い出といえば、朝の爽風を満喫しながら通ったラジオ体操であり、参加スタンプを押してもらうのが楽しみであった。国民の体力向上と健康保持を目的に作られたのが「ラジオ体操第一」であるが、どうもストレッチに深呼吸が多く少々物足りないとの意見が多く寄せられた。そこで生まれたのが筋力を強化する「ラジオ体操第二」である。馴染みは薄いが実はラジオ体操には第三も存在する。こちらの方はテンポも動きも早く現代的なイメージの構成となっている。


《水無月》明石蛸 ー四季に見る 日本の心と人・文化ーより

ー明石の名物といえば蛸(タコ)。この季節の蛸はあえて「麦わら蛸」と呼ばれる。麦が収穫される頃の蛸は格別美味しいとされるからであるが、実際にはこれから立秋の頃までが旬となる。関西では夏至から数えて十一日目にあたる、「半夏生」の日に蛸を食べる習慣がある。植えた稲が蛸足の如く、しっかりと根づくようにと願った風習である。梅雨が明けると、愛嬌のある干し蛸が夏の風物として浜に揺らぐ。


《皐月》ひなげしの花 ー四季に見る 日本の心と人・文化ーより

ー和名「ひなげし」は、世界各地で愛される花である。英名「ポピー」、仏名「コクリコ」、スパイン名「アマポーラ」、漢名は「虞美人草(ぐびじんそう)」と一度は聞いたことのある名前がずらりと並ぶ。元はヨーロッパ原産のケシ科の越年草である。初夏の風に愛らしくそよぐ姿が青い五月の空に映える。歴史好きの方なら、遠く風にのって響く馬蹄の音や四面楚歌の歌が聞こえる項羽と劉邦の場面を思い浮かべる方もいるであろう。劉邦に敗れた項羽が愛妾虞姫(ぐき)をおもんぱかって吟ずる声は、兵士たちの涙を誘ったと伝えられる。中国では彼女が自決の際に鮮血を流した跡地に咲き出した花とされ、虞姫にちなんで「虞美人草」と名付けられたといわれている。


《卯月》竹の秋 ー四季に見る 日本の心と人・文化ーより

ー竹の子は竹かんむりに旬で「筍」(たけのこ)とも書く。「旬」は上旬、中旬、下旬の「旬」であり十日間を意味する。すなわち竹の子は十日もすると親竹になるといわれるほど成長が早い。その筍を育むのが「筍流し」(たけのこながし)といわれる暖かな南風であり、「筍梅雨」(たけのこづゆ)とも呼ばれる春の雨である。親竹はこの時期は子供に栄養を奪われるためか、葉は次第に黄ばみを増してくる。この現象を俳句では「竹の秋」と呼び、春の季語としている。逆に「竹の春」といえば秋の季語になる。


《弥生》春の嵐 ー四季に見る 日本の心と人・文化ーより

ー「春風駘蕩」(しゅんぷうたいとう)とはのどかな春景色の中に吹く風をいったものであるが、春の風は必ずしもそうではない。日差しが強まると空気の対流現象が起こりやすくなり、低気圧や前線の周辺では「春一番」や「花に嵐」といわれるような春の嵐を作り出す。コンピューターが普及していない頃は、アジア天気図の上に、観測データをプロットしていく作業があった。大陸奥地では春から初夏にかけて気温が急上昇することがあった。イギリスに「春はライオンのようにやって来て子羊のように去る」という言葉があるが、その理由はこのことなのかと気づかされたものだ。


《如月》農事暦(のうじごよみ)ー四季に見る 日本の心と人・文化ーより

ー農作物の作付けや作業日程の目安を得るためには農事暦が必要であった。この農事暦の作成に関しては太陽の運行でやればうまくいくことがわかった。まず一年の中でもっとも太陽の影が長くなる日を「冬至」とし、最も短い日を「夏至」とした。そして冬至と夏至の間に「春分」と「秋分」があるはずとした。冬至と春分の間には「立春」、春分と夏至の間には「立夏」、夏至と秋分の間には「立秋」、そして秋分から冬至の間には「立冬」があるはずとした。これがいわゆる「二至二分四立」と呼ばれる「八節」である。


《睦月》ふくらすずめ  ー四季に見る 日本の心と人・文化ーより

―枯れたセイタカアワダチソウが林立する空き地で、かまびすしく雀が群れている。よく見ると、一本一本の枝に一羽ずつ雀が乗っかっている。ふっくらと羽を膨らませ寒風に揺らぐその姿はひょうきんで微笑ましい。着物の帯の結び方や昔の少女の髪型を「ふくらすずめ」と呼ぶ。この「ふくらすずめ」の名前の由来は、雀が保温効果を高めるために体に空気をため込み、ふっくらとした姿になることから名づけられた-